ファインダー越しに垣間見える研ぎ澄まされた天才的感性と鋭敏な思考、そして確かな経験に基づく卓抜した技術

ファインダー越しに垣間見える研ぎ澄まされた天才的感性と鋭敏な思考、そして確かな経験に基づく卓抜した技術

真実、虚栄、偽り、変身…。
撮られた己の写真に人はどのような意義づけをするのであろうか。

それは各々が自由に捉えてよいものだが、フレームに収める側の手腕によりその選択肢の幅が大きく変わると言っても過言ではない。

「人間は存在するだけで美しい」
そんな信念を全面に携えながらシャッターを切り続けるフォトグラファーの唐亨はそれを自在に操ることが出来る。

他の者たちのそれとは一線を画している、彼の織り成す世界観。

多彩なジャンルの写真を長きに渡って撮り続け、中でも徐々に確立されていった、写真に象る女性の内面に宿る美への追究は近年の活躍として目覚ましい。

カメラを手にはにかむ穏やかな表情と瀟洒な風貌は、写真撮影における女性独特の羞恥心を柔らかく抱擁し、彼女たちが身に纏うヴェールを優しく剥がしていく。

そうして女性たちの頑な心は解放へと導かれ、自らの美に気付いていくのだ。

その一方で、ファインダー越しに垣間見える研ぎ澄まされた天才的感性と鋭敏な思考、そして確かな経験に基づく卓抜した技術で以って、緻密な構図が彼の脳内に瞬時に描かれ、クライアントのニーズを満たす完璧な写真へと歩を進める。

そんな陰と陽を絶妙なバランスで持ちわせているフォトグラファーを私は他に知らない。

ただ在る空間に彩りを吹き込んで息づかせ、その色を帯びた世界に被写体を巧みに一体化させるのは正に神業。
シャッター音とともに、永遠に色褪せぬ美しさの本質を写し出す。

雅やかさ、麗らかさ、清らかさ。
それでいて、どこか溌剌とした躍動感のある姿。

自分の在り方に気付いた撮影後の彼女たちは澄みきった様を呈し、写真を手にした時の表情がその出来映えへの充足感を物語る。

これを癒しと言わずして何と言おうか。

あるがままを撮るだけでなく、内面に眠る個の魅力と併せて女性の最上美を創出するのが軸であり、その手にかかれば、苦手意識の高い写真撮影に不思議と心逸ってしまうことすらも彼の才腕なのだろう。

そんなフォトグラファー唐亨を私は皆に強く推薦したい。

フリーライター  帷子きよは 様